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脳卒中患者の運動療法として筋力トレーニングを選択することは有効か?

2021/07/15

運動療法 筋力トレーニング 脳卒中 論文紹介

t f B! P L

皆さんこんにちはフィジオライオンです。
現在、急性期病院で理学療法士として働いて9年目となります。

初投稿になります。

拙さ全開ですが、お付き合いいただけたら幸いです。

初投稿のテーマは脳卒中患者の筋力トレーニングです。

当ページのKey Questionは、

  1. 脳卒中患者に対する『筋力トレーニング』はプログラム選択として有効か?

  

筋力トレーニングに対する疑問

皆さん脳卒中患者に対する運動療法プログラムとして『筋力トレーニング』を選択することはあるでしょうか?

フィジオライオンはあります。

ただ、臨床では感覚的に『筋力トレーニング』をプログラムとして選択することがほとんどで、

そのエビデンスは?
筋力トレーニングを選択して、患者にどういった効果を与えられるか?

という臨床的疑問がわいてきました。

もしかすると、何となく必要そうで、多分意味あると思って『筋力トレーニング』という運動療法を自己満足で患者に提供しているのではないか?

と考え始めたのが、当ページを投稿したきっかけです。

皆さんはどうですか??

2020年に出たSystematic Reviewでは

Current data indicates that resistance training may be beneficial in supporting the recovery of stroke patients. However, the current evidence is insufficient for evidence-based rehabilitation.
引用:Veldema J, Jansen P. Resistance training in stroke rehabilitation: systematic review and meta-analysis. Clin Rehabil. 2020 Sep;34(9):1173-1197.

論文の結論は、 

現在のデータは、レジスタンストレーニングが脳卒中患者の回復をサポートするのに有益であることを示している。しかし、現在のエビデンスは、エビデンスに基づくリハビリテーションには”insufficient(不十分)”である。

というものでした。


フィジオライオン的にはショックな結論でした。
意味があると何となく思っていて『筋力トレーニング』を運動療法として処方していましたが、
現状では有益性はありそうであるが、エビデンスレベルは低いようです。


Systematic Reviewの内容を確認したところ、
結果としては、
『筋力トレーニング』は、

下肢筋力および下肢運動機能(FMA)においては
他の治療法より優れているようですが、

歩行能力移動性・バランス・姿勢制御痙性・筋緊張亢進においては
他の治療法と有意な差はないようです。

また考察では、
異質性が高く、効果に一貫性がないことが指摘されています。
つまり、
研究によって介入方法、対象者、評価されたパラメータがばらばらであり、その効果に一貫性がないことが示唆されます。

まとめ

フィジオライオン的まとめは、
  1. 脳卒中患者に対する『筋力トレーニング』プログラムは筋力増強への効果はあるが、機能アウトカムへの効果は不明であり、選択には再考が必要である。

臨床では脳卒中患者に対しての『筋力トレーニング』が効果的であると感じる場面は多々あります。
ただ、現状のエビデンスレベルは把握しておく必要はあると感じました。

皆さんの中で、”こういった脳卒中患者”あるいは”こういった介入方法”において
『筋力トレーニング』が有効であるというアイディアがあれば、
それが仮説となり、臨床研究につながると思います。

リハビリテーションの世界は、まだまだ分からないことだれけで、臨床で感じた疑問を調べることは重要であると思います。

このテーマに興味を持っていただいた方は、
当ページの内容を鵜呑みにせずに1次情報にあたってください。
あくまでもフィジオライオンのフィルターを通しての解釈となっています。
コメント欄で皆さんの”考え”を共有していただけたら幸いです。


昨日の自分よりも1%成長がモットーのフィジオライオンがお送りしました。
今後ともよろしくお願いいたします。

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このブログを書いている人

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急性期病院で理学療法士として働います。昨日の自分よりも1%成長がモットーに臨床と研究に奮闘しています。当ブログは、各患者の最大機能を発揮させる運動療法を追求し、臨床経験や臨床研究を通して誰もが再現性ある手段を獲得できるための情報発信を目的としています。

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