皆さんこんにちはフィジオライオンです。
現在、急性期病院で理学療法士として働いて9年目となります。
脳卒中患者にとって起立動作の獲得は日常生活動作の自立や介助量軽減にとって欠かせない項目です。
理学療法士としては当たり前の内容かもしれませんが、
現状のエビデンスを見ながら確認していきたいと思います。
当ページのKey Questionは、
- 脳卒中患者において自立した起立動作を獲得するためのポイントは?
起立動作を獲得するためのエビデンスは不充分
This review has found insufficient evidence relating to our primary outcome of ability to sit-to-stand independently to reach any generalisable conclusions.引用: Interventions for improving sit-to-stand ability following stroke. Pollock A, Gray C, Culham E, Durward BR, Langhorne P. Cochrane Database Syst Rev. 2014 May 26;2014(5):CD007232.
とあるように、
自立した起立動作能力獲得に関する十分なエビデンスが得られなかったとあります。
つまり、起立動作が自立していない脳卒中患者に対して、
起立動作練習の有効性は検討の必要があるということです。
紹介された論文は2014年出版で、選択された論文は2013年6月までのものとなっているので、
Updateされるのが待ち遠しいですね。
※参考までに上記の論文では、
すでに立ち上がり動作が自立している者に関しては、所用時間の短縮、左右非対称性の改善が見られるとの中程度のエビデンスが見られたとあります。
自立した起立動作を獲得した患者の特性とは?
ーBaseline時点において、大腿四頭筋活動のピーク時におけるCoMの位置(麻痺側)は、統計的に異なり(P = 0.038)、リハビリテーション後に起立動作の自立性を回復した群(128.87 ± 73.55 mm)よりも、自立しなかった群(68.86 ± 82.70 mm)の方がはるかに後方にあった。ーリハビリテーション後に起立動作の自立性を回復した群は体の前方移動を増やし、両側の大腿四頭筋のピークの時間差、および非麻痺側の大腿四頭筋とハムストリングスの時間差を減少させた。
引用:Neuromechanical Differences Between Successful and Failed Sit-to-Stand Movements and Response to Rehabilitation Early After Stroke. Kerr A, Clark A, Pomeroy VM. Neurorehabil Neural Repair. 2019 May;33(5):395-403.
論文の結論としては、
リハビリ後に自立した起立動作を獲得した者は、そうでない者と比較して
リハビリ介入前時点での起立動作時の重心が有意に前方にあったことを示してします。
さらに、リハビリ後に自立した起立動作を獲得した者は介入後もさらに重心は前方に移動していることも分かりました。
Kerr Aらは、座った状態で20cmの前方変位(垂直に対して約25°から30°の体幹の前傾)が妥当な治療目標となる可能性を示しています。
また、リハビリテーションのもう一つの重要な目標として、体幹前傾とそれに同期した大腿四頭筋およびハムストリングスの筋活動を獲得することとしています。
これに関してはバイオフィードバック等で筋収縮のタイミングにアプローチしてもいいかもしれません。
まとめ
- 重心の前方移動へのアプローチ
- 体幹前傾とそれに同期した大腿四頭筋およびハムストリングスの筋活動へのアプローチ