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【再考】Stroke Care Unitの有効性とは?

2021/11/26

脳卒中 論文紹介

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皆さんこんにちはフィジオライオンです。
現在、急性期病院で理学療法士として働いて9年目となります。

脳卒中患者の治療において
Stroke Care Unitでの包括的なケアが重要であることは
脳卒中患者のリハビリテーションを実施している療法士にとっては
一般常識となっていると思います。

ただ、Stroke Care Unitが有効であることは知っていても、
具体的に何に有効なのかが曖昧でした

当ページのKey Questionは、

  1. Stroke Care Unitは何に有効なのか?

当たり前のことを確認して、言語化することは意外に重要であると思います。
お付き合い頂けたら幸いです。


 

Stroke Care Unitとは?

日本では急性期脳卒中治療を行う上で
Stroke Care Unitを設置している病院は多いと思います。

一般的に多職種で構成する脳卒中専門チームが急性期から集中的な治療と早期リハビリテーションを計画的かつ組織的に行う病棟Stroke Unitと呼び、

そこに高度な脳卒中治療の役割を兼ねた病棟Stroke Care Unitと呼びます。
ここではStroke Care UnitとStroke Unitは同義で扱います

ちなみに、本邦のStroke care unitの施設基準として、

・脳神経外科または神経内科の経験が5年以上ある専任の常勤医師が常時1名
・看護師が常時3対1(患者3人に対し看護師1人)以上
・専用の治療室がある
・必要な装置および医療器具を常時備えている
・リハビリテーションの経験がある専任の理学療法士または作業療法士が1名以上
・CT、MRI、脳血管造影などの撮影・診断が常時可能
・脳梗塞,脳出血,くも膜下出血の患者を概ね8割以上入院させる

とあり、脳卒中治療が手厚く施せるようになっています。

Stroke Care Unitの有効性に関しては、
脳卒中治療ガイドライン 2021にて
脳卒中急性期症例は、多職種で構成する脳卒中専門チームが、持続したモニター監視下で、集中的な治療と早期からのリハビリテーションを計画的かつ組織的に行うことのできる脳卒中専門病棟であるStroke Unit (SU)で治療することが勧められる (推奨度A エビデンスレベル高)
引用:日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン委員会 (編) (2021).脳卒中治療ガイドライン 2021. 株式会社協和企画. 

とあり、 Stroke Care Unitでの治療はガイドライン上でも推奨されています

では、具体的にどのような点が有効なのでしょうか?


2020年のCochrane Database of Systematic Reviews

2020年にStroke care unitの有効性についての報告がありましたので紹介します。

network meta-analysisで分析されている論文です。

At an average of 12 months after their stroke, people who received organised inpatient (stroke unit) care were more likely to be alive (an extra two people surviving for every 100 receiving stroke unit care; moderate-quality evidence) and living at home (an extra six patients for every 100 receiving stroke unit care; moderate-quality evidence). They also were more likely to be independent in daily activities (an extra six patients for every 100 receiving stroke unit care; moderate-quality evidence).
引用:Organised inpatient (stroke unit) care for stroke: network meta-analysis. Langhorne P, Ramachandra S; Stroke Unit Trialists' Collaboration. Cochrane Database Syst Rev. 2020 Apr 23;4(4):CD000197.

 論文の結果は、

脳卒中発症から平均12ヵ月後の時点でStroke Care Unitで治療を受けた者は、

生存率が高かった(100人につき追加2人が生存している;中等度の質のエビデンス)

自宅で生活している可能性が高かった(100人につき追加6人が生存している;中等度の質のエビデンス)

日常生活において自立している可能性が高かった(100人につき追加6人、中等度の質のエビデンス)。


やはり、一般病棟で管理されるよりも有益であることが明らかに有益であることがわかりますね。

特に、在宅復帰やADL自立に影響を与えることは興味深いですし、

その一翼を担っているのが私たち理学療法士であることも嬉しいものです。

まとめ

フィジオライオン的まとめは、
  1. Stroke Care Unitは生存率、在宅生活、日常生活での自立した生活の可能性を高める

専門病棟で包括的に脳卒中急性期患者をみることは、
とても有益であることが再確認できました。
改めて、理学療法士としてどのような貢献ができるかを考える必要性も感じました

次回は、理学療法士として興味がある早期離床についても再考してみたいと思います。

このテーマに興味を持っていただいた方は、
当ページの内容を鵜呑みにせずに1次情報にあたってください。
あくまでもフィジオライオンのフィルターを通しての解釈となっています。
コメント欄で皆さんの”考え”を共有していただけたら幸いです。


昨日の自分よりも1%成長がモットーのフィジオライオンがお送りしました。
今後ともよろしくお願いいたします。

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急性期病院で理学療法士として働います。昨日の自分よりも1%成長がモットーに臨床と研究に奮闘しています。当ブログは、各患者の最大機能を発揮させる運動療法を追求し、臨床経験や臨床研究を通して誰もが再現性ある手段を獲得できるための情報発信を目的としています。

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