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歩行速度の測定方法について再確認

2021/11/07

歩行 理学療法評価

t f B! P L

皆さんこんにちはフィジオライオンです。
現在、急性期病院で理学療法士として働いて9年目となります。

どの分野の理学療法士であれ、歩行速度を測定する機会は多いと思います。

歩行速度は臨床的に非常に簡便で有用な指標なので、

普段何気なく測定していると思います。

当ページのKey Questionは、

  1. 歩行速度測定方法の再確認する

基礎的な内容になりますが、お付き合い頂けたら幸いです。

 

第6のバイタルサインとは?

歩行速度は第6のバイタルサイン(Walking Speed: the Sixth Vital Sign)
と呼ばれるほど、臨床現場では重宝されています。

その理由として、予測能力が高く、測定することが非常に容易であることが挙げられます。

歩行速度の測定方法で今回参考にした論文が、
「Walking Speed: The Functional Vital Sign(Middleton A, et al. J Aging Phys Act. 2015.)」
です。

紹介する内容以外にも歩行速度のカットオフ値やMDCなどが載っています。
無料で見れますの興味ある方はこちらをご参照ください。

歩行速度の測定方法

指示

歩行速度を測定には快適歩行速度と最大歩行速度の2つに別けられます。

測定する前に被検査者に説明を行うと思いますが、
指示に関しては標準化されていないのが実情です。

フィジオライオンは、
快適歩行速度であれば、「いつも通りの速さで歩いてください」

最大歩行速度であれば、「できるだけ速く、走らないように歩いてください」
と指示を出しますが、

他にも
快適歩行速度の場合、
「快適なペースで歩いてください」、
「公園を散歩するように歩いてください」

最大歩行速度の場合、
「できるだけ速く、安全に、走らないように歩いてください」、
「今にも出発しそうなバスに手を伸ばすつもりで歩いてください」
など様々です。

指示によって歩行速度は変化してしまいます。
そのため、測定時は指示を統一することが重要となってきます。

歩行テストの長さ

歩行速度は距離÷時間で算出されます。

10m歩行テストとの併存妥当性を検証したいくつかの研究では、
5m歩行テスト未満において十分な結果が得られなかったと報告されています。

そのため、5~10mの長さの歩行テストであれば同じような結果が得られることがわかっているので、その中で環境に最も適した距離を使用すればよいと考えられます。

加速路の確保

歩行速度は、止まった状態から加速段階を含めての速度を測定することもありますが、
定常状態を測定することが一般的です。

定常状態の歩行速度を測定するための加速路の距離は

快適歩行速度の場合約2.5m(Lindemann et al., Gait Posture. 2008; Macfarlane & Looney, Res Q Exerc Sport. 2008)

最大歩行速度の場合約3.25m(Macfarlane & Looney, Res Q Exerc Sport. 2008)
に設定してテストを実施することが推奨されています。

測定機器

一般的に臨床では床にテープ等で距離の目印を貼り、
ストップウォッチで測定します
歩行速度を測定場所を確保している現場が多い印象があります。

床面に歩行速度を測定する装置が内蔵されいる計測器付きの歩行路で計測できればより正確ではありますが、非常に高価であり現実的ではありまんせん。

しかしながら、上記の方法でも十分な妥当性(Shimada et al., BMJ Open. 2013)と信頼性(Adell et al., J Geriatr Phys Ther. 2013; Phan-Ba et al., NeuroRehabilitation. 2012; Puthoff & Saskowski, Cardiopulm Phys Ther J. 2013)が得られることが分かっています。

テープを表面に貼れない環境で作業する場合は、全距離(加速・減速の段階を含む)の長さで、時間を計る区間を明記した細いロープを持ち歩くという方法もあります

そのことで、一時的に敷設することができ簡単に持ち運べるため
様々な環境下でテストを行うことができます。

快適歩行速度と最大歩行速度の測定意義

快適歩行速度は、現在の機能状態(Verghese et al., Arch Phys Med Rehabil. 2011)と多くの健康アウトカム(Abellan van Kan et al., J Nutr Health Aging. 2009; Castell et al., BMC Fam Pract. 2013; Dumurgier et al., BMJ. 2009)を提供してくれます。

一方で、最大歩行速度地域社会における個人の能力に関する情報(Dobkin, Neurology. 2006; Salbach et al., Arch Phys Med Rehabil. 2013)を提供してくれます。

例えば,日本では一般的に横断歩道を渡り切れる速さとして1.0m/s以上の歩行速度が必要とされています。

また、アメリカでは安全に道路を横断するための速さとして1.32 m/s以上の歩行速度が必要とされています(Salbach et al.,Arch Phys Med Rehabil. 2013)。

そういった意味で両方の速度を測定することは、
対象者の全体像を得る上でも重要になってくると思われます。 

まとめ

フィジオライオン的まとめは、
  1. 安定した歩行速度を測定するために必要な要素を説明しました。

普段から歩行速度を測定いる方がほとんどだと思います。
基礎的な内容でしたが、安定した測定結果を得るために
本日の内容を確認してみてはいかがでしょうか。

このテーマに興味を持っていただいた方は、
当ページの内容を鵜呑みにせずに1次情報にあたってください。
あくまでもフィジオライオンのフィルターを通しての解釈となっています。
コメント欄で皆さんの”考え”を共有していただけたら幸いです。


昨日の自分よりも1%成長がモットーのフィジオライオンがお送りしました。
今後ともよろしくお願いいたします。

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急性期病院で理学療法士として働います。昨日の自分よりも1%成長がモットーに臨床と研究に奮闘しています。当ブログは、各患者の最大機能を発揮させる運動療法を追求し、臨床経験や臨床研究を通して誰もが再現性ある手段を獲得できるための情報発信を目的としています。

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