皆さんこんにちはフィジオライオンです。
現在、急性期病院で理学療法士として働いて9年目となります。
急性期脳卒中患者の研究では早期離床介入の効果を検討することがトレンドとなっています。
早期離床は急性期脳卒中治療では常識となっていますが、
実臨床では早期離床をさせたくてもできないケースに遭遇して悩んでいませんか?
その点を解決するためには、
早期離床を阻害する要因を明らかにする必要があります。
実は早期離床を阻害する因子を分析した研究があります。
この記事では早期離床を阻害する要因についてお伝えします。
この記事のKey Questionは、
- 発症後48時間以内の早期離床を阻害する要因とは何か?
この記事を読むと、
実臨床で早期離床ができない患者の要因を明らかにすることで、介入の糸口がつかめる可能性があります。
実臨床で早期離床ができない患者の要因を明らかにすることで、介入の糸口がつかめる可能性があります。
お付き合い頂けたら幸いです。
早期離床は『原因』ではなく、『結果』であるという視点
脳卒中患者において早期離床させることは一般常識となっています。
しかしながら、
実臨床では早期離床させたくてもできないケースがいるという点が問題となっています。
実臨床では早期離床させたくてもできないケースがいるという点が問題となっています。
この記事の焦点は、
『なぜ発症後48時間以内に離床ができなかったのか?』という点です。
『なぜ発症後48時間以内に離床ができなかったのか?』という点です。
今回紹介する論文は、前回紹介した
「Acute Phase Predictors of 6-Month Functional Outcome in Italian Stroke Patients Eligible for In-Hospital Rehabilitation」
のサブ解析になります。
「Acute Phase Predictors of 6-Month Functional Outcome in Italian Stroke Patients Eligible for In-Hospital Rehabilitation」
のサブ解析になります。
前回の記事を簡単におさらいすると、
回復期リハビリテーション病院に転院する脳卒中患者において、
6か月後の良好な機能(Barthel index ≧75点、modified Rankin Scale ≧2)を予測する因子の一つとして、
発症後48時間以内の離床があげられるとお伝えしました。
回復期リハビリテーション病院に転院する脳卒中患者において、
6か月後の良好な機能(Barthel index ≧75点、modified Rankin Scale ≧2)を予測する因子の一つとして、
発症後48時間以内の離床があげられるとお伝えしました。
興味がある方は以下をお読みください。
紹介した論文では、
早期離床のマニュアルはなく、
結果として発症後48時間以内の離床ができたかどうかの有無で要因を区分けしています。
早期離床のマニュアルはなく、
結果として発症後48時間以内の離床ができたかどうかの有無で要因を区分けしています。
上記の研究デザインでは
発症後48時間以内の早期離床が可能であったことを『原因』として、
6か月後の機能的予後を『結果』として
解析しています。
発症後48時間以内の早期離床が可能であったことを『原因』として、
6か月後の機能的予後を『結果』として
解析しています。
一見、発症後48時間以内の離床介入を行えば、6か月後に良好な機能が獲得できると思われがちです。
しかしながら、あくまでもこの結果を臨床応用する場合、
結果的に発症48時間以内に離床できた患者は6ヵ月後の予後が良好の可能性があるということです。
結果的に発症48時間以内に離床できた患者は6ヵ月後の予後が良好の可能性があるということです。
ややこしいので別の言い方をすると、
前向きのコホート研究なので48時間以内の離床が可能であったかどうかと機能的予後には因果関係がありますが、
48時間以内の離床が出来なかったら患者を時間内に離床させれば機能的予後がよくなるとは限りません。
前向きのコホート研究なので48時間以内の離床が可能であったかどうかと機能的予後には因果関係がありますが、
48時間以内の離床が出来なかったら患者を時間内に離床させれば機能的予後がよくなるとは限りません。
この記事では
発症後48時間以内の離床が可能であったかどうかを『結果』としてみて、
早期離床を阻害する因子(原因)を分析する点が肝となっています。
発症後48時間以内の離床が可能であったかどうかを『結果』としてみて、
早期離床を阻害する因子(原因)を分析する点が肝となっています。
早期離床ができるかどうかは、様々な要因が影響してきます。
そのため、
発症後48時間以内に離床ができた患者とそうでない患者の間で何が違っていたかが判明するば、
その原因に対してアプローチすることで早期離床を達成きるのではないかと考えらます。
発症後48時間以内に離床ができた患者とそうでない患者の間で何が違っていたかが判明するば、
その原因に対してアプローチすることで早期離床を達成きるのではないかと考えらます。
早期離床を阻害する因子とは?
早期離床された脳卒中患者(発症後48時間以内)と
遅延離床された脳卒中患者(発症後48時間以降)という2群に別けて、
二値ロジスティック回帰を用いた分析を行いました。
遅延離床された脳卒中患者(発症後48時間以降)という2群に別けて、
二値ロジスティック回帰を用いた分析を行いました。
The analysis highlighted that the presence of incontinence, dysphagia, and aphasia in the first week after stroke are unfavorable factors for early mobilization, whereas hypertension does not seem to be a limiting factor.引用:Acute Phase Predictors of 6-Month Functional Outcome in Italian Stroke Patients Eligible for In-Hospital Rehabilitation. Franceschini M, Fugazzaro S, Agosti M, Sola C, Di Carlo A, Cecconi L, Ferro S; Italian Study Group on Implementation of Stroke Care (ISC Study). Am J Phys Med Rehabil. 2018 Jul;97(7):467-475.
論文の結果は、
脳卒中発症後1週間以内の失禁、嚥下障害、失語症は早期離床に不利な因子であるというものでした。
まとめ
フィジオライオン的まとめは、
- 発症後48時間以内の離床を阻害する要因として、脳卒中発症後1週間以内の失禁、嚥下障害、失語症が挙げられる。
今回はサブ解析であったため、参考程度に考えた方がいいかもしれません。
また、今回の結果をどのように早期離床に活かすかは課題がありそうですね。
まずは上記の要因を持つ患者がいた場合、離床が遅れていないかを気に掛けることから始めてもいいかもしれません。
ただ、フィジオライオン的に
早期離床を『原因』ではなく、『結果』としてみる視点を持つことができた点で
価値ある論文だったと思います。
早期離床を『原因』ではなく、『結果』としてみる視点を持つことができた点で
価値ある論文だったと思います。
今後、早期離床を阻害する因子の研究が更に進めば、質の高い離床が提供できるかもしれません。
このテーマに興味を持っていただいた方は、
当ページの内容を鵜呑みにせずに1次情報にあたってください。
あくまでもフィジオライオンのフィルターを通しての解釈となっています。
コメント欄で皆さんの”考え”を共有していただけたら幸いです。
昨日の自分よりも1%成長がモットーのフィジオライオンがお送りしました。
今後ともよろしくお願いいたします。